2010年1月法話

新年明けましておめでとうございます。新しき年を迎え、ご家族皆様手を合わせ、今年一年の無事をお祈りのことと思います。人間は一つ一つ区切りを付け、次に進んで歩んできたのでしょう。日本には二十四節気という区切りの月日があり、その時々に種々な行事がなされてきました。その最たるものがお正月です。年の区切り、始まり、大事にしたいものです。

年末のテレビなどでも、お正月のおせち料理の番組などがかなり多くありました。現在では家族構成が変わったなどで作る家庭が少なくなってきたようです。昔ながらの決まった料理など飽き飽きだと思うのでしょう。しかし、無ければ無いで寂しいということで、段重ねの仕出しのおせちが人気があるのも事実です。しかしお値段が高い!どうせ食べるのであればこの機会だから料亭の味がほしいということらしいのです。

我が家のおせち料理を紹介しましょう。黒豆、昆布煮、大根のなます、雑煮汁、そして新潟にゆかりのあるのっぺ汁、茶碗蒸し、そして私の手作りのごま豆腐。ここまではいわゆる精進料理で、さらにハタハタ寿司、きりたんぽと、もちろんお餅。結構品数がありますが、私の小さい時から変わらずに続いております。年末は準備で忙しいのですが、正月三が日は意味合いを持たせ今年一年の幸福をお願いすることも日本人の心として大事にしたいと思います。そしてその家その家の持ち味、まさに味に関してもそうですが、生業もそれぞれ違います。それぞれを大事につなげていくことにも、このお正月の行事が一役買っているものと思います。

とはいっても楽しいことばかりが続くとは限りません。何が起こっても不思議ではないこの時代、不幸が起きないよう、起こさないよう努めて参りたいという心構えもしっかり持ってのこの一年の出発であってほしいものです。お寺の行事の三朝祈祷はまさにこの世のこの国の安穏を願い、みんなの健康、幸福、祈願成就を願っての最大の行事です。これこそ何百年と続いております。そのご祈祷のお札一枚を、皆々様の願いの成就の糧にしてもらえれば幸いです。今年一年のご多幸をご祈念申し上げます。

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さて、お葬式、ご法事などで参列参拝の時に身につけるものとして数珠があります。仏教徒にとっては欠かせない、おまじない的要素のものです。合掌・礼拝の時の法具です。

この数珠は、仏像も持っておられるように、釈尊在世の頃からあったものと思われます。「木槵子経」に由来があるようですが、お釈迦様が世の乱れ(盗賊、飢饉、疫病など)の救済法として、木槵子を108つないでそれを持ち歩き、仏法僧の名を唱えながら数珠を繰れば、煩悩が消滅し、安楽を得ることができるといわれたようです。ここから、数珠の数は108玉が基本とされます。いわゆる108の煩悩を消滅せしめる法具です。108の仏、菩薩に守られているというお守り的存在でもあります。珠の数はその他、半分の54,27,14,1080などがあります。どの数でも同じ事です。

使い方としては、左手の手首にかける、合掌したときに八指にかける、両中指に緒留をかけ掌中に入れ擦りならす、などがあります。大きさに合わせてお使いください。煩悩を吹き消すが如く、軽くすりあわせても良いでしょう。信仰上の法具ですので、常に身につけ、畳の床に直に置かないよう、不浄なところへは持っていかないよう注意してください。

また、風習としては、百万遍念仏の時に用いるような大数珠もあります。大勢の人が輪になり、心を一つにできる方法といえましょう。数珠をかけての礼拝が煩悩を清め、仏への真の帰依を表していると共に、悟りの世界への功徳とされます。