2013年6月法話

6月に入り、南より梅雨の季節に入ってきました。当秋田も日差しが強く、2,3日は30度近くまでになり夏以上の暑さを感じる日もありました。突然の気温上昇に体力がついていけず忙しさも手伝って少々ばて気味です。1週間ほど遅れた田植えもほぼ終わり、早苗でうっすら緑の田んぼの畦を愛犬と朝夕散歩しております。中々気持ちのいいものです。田舎も捨てたものではないと実感いたします。祖母が作っていた畑を見よう見まねで私が今年手掛けています。ジャガイモ、ほうれん草、枝豆等々いっせいに芽を出し、これもまた嬉しい限りです。虫、病気、さらに雑草との競争になることでしょう。
6月1日は当倫勝寺の再会結制法戦式です。次男の卓爾が本格的に僧として独り立ちする為のステップとなる式です。法戦式というごとく、法を戦わせる式ですが、修行僧の先頭に立って問答を行います。修行課題となる「達磨廓然」(従容録)の話を受けて、同修の8人と丁々発止の大問答です。何度も練習してのいざ本番、随喜の30名の僧侶、約100名の檀徒にどれだけ心打つことが出来るのか、期待しています。また大行持を行うに当たり、昨年なくなった母の一周忌法要を少し早いのですが営ませていただきます。
1つの大きな行持があると中々落ち着かないのですが、これもまた張り合いというのでしょうか、心の高揚を覚えています。

さて、師の書の作品に“芳信”という茶掛けがあります。かおりのたより、ということでしょうか。ちょうどこの時期、木々の芽ぶき、花の数々、次から次へと装いを新たにしていきます。当寺参道の両脇の大ケヤキが芽吹くこの時期、心わくわくする最高の季節です。私の大好きな時です。そんな季節をこの芳信がうまく伝えてくれていると思います。行書作ですが、どこか隷書の雰囲気を漂わせており、落ち着きのある作となっています。表具も緑の裂の丸表装、若芽に囲まれている感じがいたします。
師の作は厳しさもあり、格調高いものと評価されていますが、正にどの作も揺るぎのない引き締まった書になっているのは師の性格が物語っているのでしょうか。さらに書に向かう姿勢の並々ならぬ決意でしょうか。作品の前にたたずむと少しほっとすることが出来るようなものを私も書きたいものです。“芳信”、すばらしい作です。