2011年9月法話

九月に入り暑さも一段落でしょうか。お盆中より急に秋風が吹き出し、夏終わりの感もあったのですが、残暑がまだまだ。もう少し我慢の日が続きます。

秋風と共に新総理が誕生いたしました。代表選挙の時も「今政局争いの時ではない」「早く一秒でも早く助けてください」との声は止みませんでした。まさに復興事業は一党派だけで進めていく問題ではなく、国民全体で考えねばならない事でしょう。大連立でも何でもして復興事業に感しては、党派を超えて風通しをよくし、だれでも見えるようなことにしてもらいたいものです。政治は国民のためになることをやるべきです。自己を評価してもらうための政策で国民を右往左往させるようでは困ります。政治も宗教もしっかりした根が有ってはじめてみんなに支持していただけるものでしょう。我々曹洞宗はお釈迦様、道元禅師様、瑩山禅師様を慕い、学び、行うことが基本です。さて今の政治の基本は?

また先般、島田紳助氏が芸能界から引退いたしました。原因は黒い噂とのことですが、大きな決断であったでしょう。漫才から始め、最後はマルチ芸能人として,「頂点を極めた」と自ら言うが如く、思い通りに進んできた芸能生活だったことと思います。才能も評価されておるようです。
今のテレビ番組、特に夜のバラエティ番組は“うるさい”という感じです。見ていて面白いと思うときもありますが、終わってしまえば心に何の響きを留めることなく忘れてしまいます。何か心を打つものが少ない気がします。それもタレントを「おばかキャラ」として、知らないことに対する容赦ない攻撃を種に盛り上げてしまうことには辟易してしまいます。それでいいのでしょうか?子供達に与える影響も大きい事でしょう。人をけなして笑いを取ることはいかがなものかと思います。タレントさんもそれを承知で、バカになりきっている人もいるのでしょう。本来の頭の良さをもっと使ってもらいたいものです。

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さて、お寺の古い話の続きです。先代が教職を辞し副住職としてお寺に入りました。建設工事を進めると共に、力を入れたのが境内整備でした。通用門を入って参道の両側が墓地になっており、5~6月は人の背ほどの草(さしどり)が生い茂っていました。ご法事、お葬式があると檀徒さんがせっせと草刈りしていたものです。

先代は草刈り鎌で参道の周辺を刈っていました。サッサッと草を刈る音は小気味よいもので今でもはっきり覚えています。学生だった私も手を出したことが有ったのですが、「おまえに出来るはずはない」と相手にされません。またサッサッと刈る音よりジャリジャリと鎌を研ぐ音の方が長かった気がします。

庭もいつのまにかススキの原でこれまた大変。刈っても刈っても追いつきません。根を掘り上げるのも大変で厄介なものでした。そんな境内に手鎌で立ち向かっていた先代に頭が下がります。檀徒の方が刈り払い機を勧めていたのですが、機械扱いが不慣れだったのでしょう、私が修行から帰ってきてからの導入でした。その刈り払い機の横でもサッサッと音がしばらく続いていました。先代にとってそれが禅だったのでしょう