2010年7月法話
6月、梅雨の時期になり、前半は雨一つない日照り、そしてようやく雨の日が多くなり、その間の晴れ間の日は真夏とめまぐるしい変動に四苦八苦してしまいます。夏の暑さは凌ぐことが出来るようですが、どうも汗かきの私は、法衣をまとっているときの汗には辟易してしまいます。汗との戦いが九月まで続くと思うと少々気が滅入ってしまいます。
そんな6月は、日本中世界中がサッカーワールドカップで盛り上がっております。日本中の国民がサポーターとして選手の後押しをしているようです。監督も選手も重い重いボールを蹴っているような感じがするのではないでしょうか。開幕前の試合では結果が出せず、監督さんも青い顔、マスコミも国民も皆なブーイングの嵐。勝てなければ誰しも面白くないのですが、強い国もあれば体力の勝る国もある。日本は何をすればいいのか、手探り状態だったときのバッシングは少し可哀想でした。そして本番、一勝の価値の大きいこと、一点の重さの大きいこと、手のひらを返したように絶賛のコメント、神様仏様岡田様などとなると、変わり目の早さに驚いてしまいます。まずは選手一人一人の持ち場を守り、人を生かし自分を高めている姿勢に拍手したいと思います。結果としてベスト16、大いなる健闘に感動と涙で国民感謝の意を表していることのすばらしさを覚えました。気持ちを一つに出来るものがあることは素晴らしいことと改めて思い知らされました。
そしてスポーツの話題としては大相撲の野球賭博、これもまた大変な様相を呈してきました。悪いと思いつつも手を出してしまう、やめることが出来ない、そんな誘惑的なことがこの世には数多くあると言うことでしょう。それが立場を考えず、表だったときのことの重大さ。罪は罪として現前として認め、努力のたまものの土俵にはしっかりと努めるというのが本來の姿ではないでしょうか。大甘でしょうが続けることの価値は大きいと思います。純粋な相撲取りとして名誉も金も求めず、努力すればついてくるものとしっかり努めてほしいところです。
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さて、供養のお経、回向が終わり、ご法事の最後となります。四弘誓願文を穏やかに且つ力強くお唱えいたします。
衆生無辺誓願度(衆生は無辺なりと誓願して度せん)
煩悩無尽誓願断(煩悩は無尽なりと誓願して断ぜん)
法門無量誓願学(法門は無量なりと誓願して学ばん)
仏道無上誓願成(仏道は無上なりと誓願して成ぜん)
そして霊供膳のお箸を偈文を唱えておろし、参列の皆様と共に合掌し三帰依文を三辺お唱えします。
南無帰依仏 南無帰依法 南無帰依僧
さらには低声にてご本尊お釈迦様の名号(南無釋迦牟尼佛)を三辺して儀式を終わらせていただきます。
ここで私ども僧侶による儀式から施主に主人を交代します。施主は本日忌日の仏様とご縁のあった方々にお使いをして参列をし、お経を一緒に聞いてもらいました。日頃のお付き合いに感謝をし、お斎(お食事)を差し上げます。この頃は仕出し店よりお膳を届けてもらい、りっぱな大名膳が並ぶことが多くなりました。先頃までは霊供膳についたお料理を大皿にどんと盛り、それぞれ取り皿にとってという、手間暇かけた家庭的な振る舞いが常でした。立派なお膳は結構ですが、精進料理の精進をご理解いただければと思います。