2009年9月法話
あっという間に慌ただしい8月が過ぎていきました。毎月毎月天候不順を書いています。今月もまた、お盆のお墓参りの13日に大雨が降ったというのは私が当寺に来て以来初めてでした。朝からの雨にもかかわらず、夜明けと同時に沢山の方が五如来のお札を求めに来てくれました。そして8時過ぎからのお墓でのお経の時間ですが、とても外に出られるような状態ではありません。しかし毎年の行事を勤めることが残されている私たち仏教徒の務めです。お参りの方は傘にカッパの姿。さてどうしよう。考えるまもなく供養の申し込みがあり、事情を理解していただき、本堂施食壇の前でのお勤めをさせていただきました。午前中は止まることなく鐘と木魚の音。「この方法もまた良いですね」という方もおられましたが、雨の上がった午後はお墓に出てのお経をお勤めしました。
雨であろうが、お墓参りのしたのとしないのとではやはり心の持ちようが違います。14日、15日もぽつぽつとお墓参りが続きました。そして16日の施食会で一連のお盆行事も無事済まさせていただきました。ご先祖様との共生きには、ご先祖様への感謝と自身の心の落ち着きどころを得た喜びがあるはずです。お盆のみならず、機会があるごとに共生きを感じてくれればと思います。
お盆が終わると、私にはもう一つ緊張の六葉会書展があります。本年も六人の県内の書人と共に県立美術館いっぱいの作品に囲まれ、至福の時間を過ごさせていただきました。本年は近くのアトリオンでの県内有力作家による展示会と会期が重なり、観ていただく方にとっても有難い書道週間になったことと思います。本展の観客も700名近くと、例年より少し多かったようで、有難い限りです。また会期中は全国的に有名な大曲の花火大会もあり、その前後によってくれる方も多く、リュック姿も目につきました。オーストラリアからの方もいたのですが、英語が話せる会員がおらず、日本文化に接してもらえなかったことが残念でした。これから語学に入るのも難しいし、誰かに頼るしかないというはかなさです。
本年得た目からの勉強と、他の先生方より聞かせていただいた耳からの情報を糧に、一年間勉強を重ね、来年もまた「すばらしいですね」の声を聞かせていただけるよう、筆を持ち続けたいと思っております。
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さて、供養物の続きです。
次はお灯明です。いわゆるローソクの火の明かりです。今は安全を考えての電池式とか、電気の吊り灯籠なども同じとみて良いでしょう。
インドでも昔から仏を供養するときに灯明が用いられました。この光は仏の大いなる智慧の光、慈悲の熱の表れだとされています。この光をともすことにより、仏無き暗黒の世界を明らかにしてくれ、煩悩の人の世の苦を取り除き、明るい悟りの世界に導いてくれます。そんなすばらしい功徳を供えています。故に六波羅蜜の智慧の功徳と同じといわれます。さらにはその熱で煩悩を焼き尽くしてくれるともいわれます。それが仏の慈悲の熱です。この智慧の光と慈悲の熱が二つの功徳です。
ローソクも現在は洋ローソクが多いですが、和ローソクや、手の込んだ細工で供養の誠を献げるべく工夫した絵ローソクなどがあります。できれば仏前でローソクをつけ手を合わせていただきたいものですが、その火が災難を引き起こさぬよう、後始末もしっかりとしていただきたいと思います。
このような仏様のお力でもある火を口で吹き消すようなことはしないでください。そっと手や小さな扇などで消してください。