2014年12月法話


今年も最後の月となりました。早いものです。例年に比べ、寒さ遅い感じがしますが、予報ではすぐ冬型になりそうです。寒さ、雪との戦いが始まります。皆様冬支度はよろしいでしょうか。

12月になるとクリスマス一色ですね。各地でイルミネーションが飾られ、至る所でイベントがクリスマス風です。ついさっきハロウィンが終わったばかりなのにまたまたという感じです。イルミネーションにしても、前は家の中に飾ったツリーに少し付けた物だったのが、デパートなどの入り口に大きな物が出現し、それが街中の木々まで色の花を付けることになりました。食文化もクリスマス一色、商業主義に乗せられてしまう人間の心をかき立てるマスコミ、ワイドショーがうるさく感じられます。

仏教にも大きな道しるべとなる行事が12月にあります。お釈迦様がお悟りになられた日、12月8日の成道会です。山にこもり世間と離れて修行していたお釈迦様が、山から出られ瞑想にふけって一週間、ついに世の中の有様を見据えて世に表した日です。このお釈迦様の気づきがなければ仏教はありません。誕生、成道、涅槃の三つの仏教行事も忘れてはなりません。もっともっと大きく世間の人に知ってもらい、お互いに手を合わせていける社会を広げたいものです。もともとクリスマスも、本来の宗教的見地から見ている人は少ないことでしょう。その点、日本人の心の中には常に手を合わせるということは他を敬う、自己を大事にするということが秘められていることと思います。是非とも外に出してみようではありませんか。

残り少ない本年も、あとを濁さぬよう、寒さに負けずに頑張ろうと思います。そのことで来たる新年が快く気持ちよく迎えられることでしょう。とりもなおさず身も心も健やかになることと思います。

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師の書に「銀河横天長」の五字の作品があります。

銀河といえば夏を思います。あの天の川の見える夏も良いのですが、“冬銀河”の季語もあるように、寒くなってからの銀河もすばらしいものです。先日愛犬と庭にぶらっと出てみました。暮れるのも早く夜長になり、空気も透き通ってきて、ふっと天を仰いでみると、満天の星でした。綺麗でしたね!「あれがあの星座だ!ここにも!」としばらく見入ってしまいました。

師の作品を探しているときに、この作が目にとまりました。立派な桐箱に入っているところを見ると、東京の展示会に出品したものでしょう。行書でのびのびとしたおおらかな作品に仕上がっています。特に「河」の終筆が、まさに長くゆったりと横たわる銀河のようです。

“銀河天に横とうて長し”まさに全天が見渡せる状況でどこまであるのか分からない天の銀河の大きさ。考えるとこの小さな地球の小さな自分が嫌になってしまいます。この宇宙の広さの如く悠々とこだわり無く生きられればと思います。まさにお釈迦様が瞑想中の時、夜明けの星を見たときにはっと気づいたとされます。イルミネーションのない夜空に自分の心を映す星を探してみませんか。