2014年8月法話
7月末に梅雨明けとなりました。局地的な豪雨に悩まされた今年の梅雨でした。当地も短時間ですがバケツをひっくり返したような雨が数度ありました。幸い被害が出るような大雨にならずほっとしているところです。
朝に愛犬と散歩の毎日ですが、田んぼの中の道路を歩いていると稲の生育が手に取るように分かります。7月末に一回干した田んぼに水(穂水というそうです)が張られ、急速に穂が芽を出してきました。この穂がそろった頃はまた綺麗に見えます。太陽が出ると一斉に花を咲かせ、実りへと向かいます。それには暑さが必要なのでしょう。
暑さと一緒に、8月お盆の月となりました。境内の掃除やお盆の準備で忙しくなります。毎年の事ですが、16日の施食会まで気を張って暑さに負けないように努めさせていただきます。本年は施食会への参拝者が少なくなっている現状を打破するために、新盆の関係者の方にお盆とは何か、供養とは何かを知ってもらうためにも、是非参拝願いたく、新盆供養を計画いたしました。この機会にまたお寺との関係を密にしていただければと思います。
お盆は夏祭りも賑やかです。七夕祭り、花火大会等々。7月末には当地区での「禅のつどい」がありました。小学生50名の参加で、一泊二日お寺での生活体験です。夏休みの思い出作りに新しい友達との出会い、お寺での坐禅・お経・身のこなしの勉強を通して、お寺に親しみを持ってもらいたいとのことで、本年で32回目、途切れることなく毎年行われ、地区の若手僧侶が汗だくになりながらの2日間でした。開講式の緊張した姿と、閉講式のリラックスの姿が、2日間の多くの心の変化を物語っているようでした。
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師の書の中に「幽蘭一国香」の一行書があります。元格という人の詩の中の一つと思われます。今正に蘭が咲き誇っていて、清らかな香を発している様でしょうか。蘭は中国では特に高貴な花としているようで、“幽境の地に咲きにおう蘭は一国中の名花と言える”ともいえるでしょう。日本でも蘭の愛好者は多く、花もさすがと言える趣があります。慣れないと自分で育てるのは難しいのですが、お祝いの場面では蘭の花を贈るのが日本の習わしなのでしょうか、テレビで1本何万円がずらりと並んでいるのを見ることがあります。詩の一節の蘭はそんな改良された花ではなく、自然の心打つ花と思いますが!
半切に一行、正に高貴な雰囲気の行書です。表具も白の地模様で書と表具がマッチしており、気持ちがすっきりする作となっております。