2014年5月法話
春、花の美しさはあっという間です。花といえばこの時期はやはり桜です。当地はレンギョウ、梅、水仙、モクレン、椿、チューリップ、春の花が競って一斉に咲き誇ります。しかし桜はやはり別格でしょうか。4月は雨が少なく、畑の準備は出来ても、種を蒔いても芽を出さないだろうと思い、雨待ちの状況です。桜にとってはありがたい天気、青空にピンクの桜、よく合っています。桜の花は寿命が短く、人々も逃してはならないと思い、名所に集います。今年は鳥の食害もなく久々の名花見となりました。
先日は大潟村の菜の花ロードを見てきました。桜の花の下に菜の花が咲き、ピンク、黄色、緑の色の織りなす、数キロものドライブコースです。車を止めて写真を撮る人々の多いこと。誰が考えて作ったのでしょう、すばらしい光景です。
その花も散り始めました。新緑となりつつあります。当寺ではこの4月いっぱい参道の工事が行われました。今まで小砂利を敷き詰めていたのですが、川砂利が手に入らなくなったので冬の間に開いた穴を補修できなくなり、石畳としました。砂利を踏むさくっさくっという音からカランコロンに変化しました。見た目にも厳かさが増し、雰囲気は良くなったのではないでしょうか。古い趣が無くなりましたが、綺麗な感じです。是非とも新参道を歩んで御参拝下さい。
参道も新しくなったところで、少し前まで行っていた倫勝寺法会を再開したいと思い、準備に入っております。6月1日からという事で我がサツキが開花してくれるよう祈っております。昨年までの根洗による植え替えで少し花芽が少ないのですが、何とか咲いたものを書(先代と現住職のもの)と共に本堂に並べて、禅的空間を作り出したいものと思っております。お茶会、坐禅会、茶話会など用意しますので、どなたでも気軽においで下されば幸いに思います。また期間中の6月7日はご開山様450回忌法要を計画しております。これまた厳かな時間を味わうと共にご開山様のご苦労を偲んで頂ければと思います。
師の作品に“如愚若魯”の小額があります。晩年の作ですが、几帳面に書かれた隷書作です。特長のある堅い四角い隷書とはまた別に、少し気持ちを和らげ線ものびのびさせた感じで本堂に入る前のところにしばらく掲げています。宝鏡三昧というお経の最後に出てくる語で、
「潜行密用は、愚の如く魯の若し。ただ能く相続するを、主中の主と名付く。」
(仏の道は悟りを忘れたところに働き出し、馬鹿になって角がとれてくる。ひたすら清浄無我の心を守ることこそ、仏として生きる人の中でも最も主体的な人です。)
の中の言葉です。
自分を賢く存在感のあるものと考えず、謙遜してことさら大きな事を考えず、与えられたものをしっかり守り通していくことが肝心ということでしょうか。師も大きく考えず、今書ける力で丁寧にを心がけた作ではないでしょうか。