2010年2月法話

正月1ヶ月も過ぎ、立春の候となりました。暖冬と予想された今年、寒さは例年以上のものがあったと感じております。寒さと雪は例年のことですが、体も気持ちも戦いというのが本音です。それもあと数日で立春、豆をまいて寒さもお終いにしたいものです。気持ちだけでも春となり、行動を開始というところです。

当地では今年1ヶ月を過ごした後の2月1日は厄払いの日とされております。寒さと共に人生の厄をはらってしまおうということでしょうか。女性33歳、男性42歳の厄年の方は、払い、みそぎを済まし、一年の無事を祈ります。さらには還暦の方も大々的に払いをし、次の人生の一歩を気持ちよく踏み出します。還暦はお祝い事で払いは必要ないものと思いますが、何かしらけじめを付けたいという思いなのでしょう。

2月21日、能代山本地区曹洞宗寺院では一般公開講座「核兵器なき平和への道」と題し、法話と映画の会が企画されております。現在永平寺監院の大田大穣老師の発願をもとに、原爆を落とされた、まさにその火を絶やすことなく今なお維持し、「平和の火」として大事にされています。その火を分けてもらい、アメリカ原爆最初の実験の地、トリニティーサイトで鎮めようという行脚のドキュメンタリー映画です。2500キロものアメリカ大地を、僧侶をはじめ支援の方々、平和を祈る人々が歩いて歩いて、歩くことにより平和への一歩一歩をかみしめている様を見ていると、自分自身が歩いているかのように思わされます。まさに禅の世界そのものといえるでしょう。

今回の一般公開講座企画を発願の教区長様の意を31ヶ寺の我々が実行に移し、多くの方にお話を聞いていただき、映画を観ていただくことにより、実感として味わってほしいものと思います。それが平和への道につながるのかと言われれば、直接今はどうこうならないかもしれませんが、今後の生活の中に平和とは何かという問いかけになってくれればと思います。どうぞ多数おいで下さいますよう、ご案内申し上げます。(行事予定参照)

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さて、供養のお話の続きは塔婆についてです。我々ご法事に行きますと、命日に当たられているご先祖様のお戒名を塔婆に書かせていただきます。

お釈迦様はご自身が亡くなってからのことはお弟子さん達にも一切お話になりませんでした。仏教はいかに生きるべきものかを説いていると言っても良いからでしょう。亡くなってからのことより今の修行を大事にしなさいと言われています。しかし、お釈迦様亡き後、お弟子さん達の間ではお釈迦様を敬い、慕っておられた感情を抑えられず、荼毘にふした後の遺骨を分け与えてもらい、それぞれが各地に立派な塔を建て供養をしたとされます。それが現在の形の塔婆供養になってきたものと思われます。

現在では3~5寸くらいの巾で4~7尺くらいの長さの板ですが、当地では次の忌日が遠くなる33回忌、50回忌では柱のような角塔婆も用いられています。形は五輪塔(空風火水地)を模し上部に型取りを入れたもので、大きく太く長くなるほど立派で、供養の心を深く表せるものと思われますが、墓地などの事情で出来る範囲でご準備願います。書き方はいろいろあるようです。私はそのご用意された塔婆に、一円相や円伊の三点水を打し、三世の諸仏を冠として経文の一部を書かせてもらい、お戒名を書いて供養塔にさせていただいております。

当日法要とお斉終了後のお墓参りの折、この塔婆をお墓の後ろにしっかりと納め、一日の法事を締めくくることにより、ご家族と参拝者の心の安堵をもたらしてくれるものと思います。