2009年7月法話
梅雨のうっとうしい時期です。我が愛するサツキも今年も花をつけてくれ、1ヶ月にわたり心に笑顔を作らせてくれました。本堂内外に並べさせていただき、参拝の方にも観ていただきました。果たして皆様の心にも笑顔を作ってくれたのでしょうか。「去年もサツキがあったので今年も楽しみにしてきました」「よく手入れしていますね」と声をかけていただくと、私も花をつけてくれたサツキに感謝しなければと思います。「このサツキを並べるだけで尊い布教になるね」と言ってくれた布教師さんがあり、続けていれば言葉以上の布教になるのではと、この時期、書作をやめても剪定、植え替えに精を出しております。来年もまたこの1ヶ月の笑顔を作ることができますように。
先月、当地随一の料亭だったところが営業をやめて土地建物を能代市に寄付され、その活用の一つとして能代春慶の古い物を集めての展示会が開かれました。この意義としては、料亭を今後どのように使っていくかの一つの答えにもなったのではないでしょうか。木都と言われたときの贅を尽くした木材を惜しげもなく使った建物は、やはり能代の宝でしょう。それを一般に公開し、後生に使用建物として残していくことが一つの意義でしょう。また、そこで能代春慶の展示会をやったということも心に残ることでした。大火を二度経験した中心市街地には良い物が無くなってしまった感がしていましたが、どうしてどうして、春慶の古い良い物が沢山残っていました。能代春慶、唄にも詠われていますが、現在は少々低迷気味、物が少なく、手間暇かけての作業、高価、と希少価値の要因が揃っていますが、もっともっと能代市民も目を向けてこれからも長く伝えていってもらえればと思うのです。しかし、料亭と能代春慶という良い物を二つ使っての展示会であれば、展示方法にもう一工夫あったのではないかと思います。あの大広間に屏風を立て、赤毛氈の上に春慶が並ぶ光景を想像すると、もっと何倍もの感動を得ることができたのではないかと思い、3・4回は継続できたのではないかなと思います。今後さらにすばらしい活用を考え、能代市民の芸術への関心を深めてもらえたらと思います。私も是非使わせてもらいたいのですがそれはいつの日やら、いい考えがありましたらお知らせ下さい。
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さて、六波羅密の二つ目は「持戒」です。持戒にあたる行としては、お香を献げることとされます。「香は信心の使いなり」という言葉もある通り、我々の信心を仏に伝えてくれる、そして我々の穢れを清めてくれるとされます。
香の使い方としては、仏を拝むときに悪臭を消すため、身体に塗る塗香、香水、そして香を焚く焼香などで仏を供養します。塗香は悪臭や暑苦しさを消し去り、爽やかな気分にさせてくれます。焼香をした香りはどんな隙間にも普く行き渡り、清い心にしてくれます。そして不浄な心を取り除き、求道の志を燃やし続けてくれます。仏の教えを信じ、穢れた心を清め、一切のものに普く功徳が行き渡るようにと焼香します。ご焼香の時に、何回やったらいいのとよく聞かれますが、我々曹洞宗では、真心を専一にして一心に供養するとのことで一回で良しとします。二回ということは戒香、定香であるといわれ、三回は貪瞋痴の三煩悩を焼き尽くして清浄な心にする、または仏法僧の三宝に供養するためといわれたりします。
線香も同じ意味合いで長時間保つために用いられます。心をまっすぐにし、その形として一本をまっすぐに立てるようにしましょう。さらに香にも種類があり、抹香、練香、さらに香木として白檀、栴檀、沈香、伽羅などがありますが、焚いて薫り高き方がその思いを成就させてくれるに値多きものがあろうかと思います。