2009年3月法話

三月、春の兆しも多くなる時となりました。先日、毎年の書道の合宿研修会が熱海で行われ、参加させていただきました。例年ながら、春の先取りの地であ り、梅の満開と人々の装いの春らしさに、時季を忘れてしまった感じです。浮かれすぎないように頭の切り替えを行い、春いまだ、に向かいたいと思います。

本月は春彼岸会、当寺のお涅槃会と忙しい一月になりそうです。多くの方の参拝でお寺も本来の目的にかなうことができれば幸いです。近年お寺を種々の使い方 で活用しようということで様々考えられております。私どもの倫勝寺法会もその一つでした。(今はお休み中。)そして本年は、お涅槃会でリュートという楽器 の演奏会(ミニコンサート)を開催したいと思っております。リュートの柔らかい温かい音の響きが、共に演奏されるリコーダーの音と相まって仏讃の響きに なってもらえればと思います。リュート演奏家の桜田亨(当寺の檀徒)も菩提寺での演奏を楽しみにしてくださっているようです。これも現代布教の一途と考え ております。ぜひお誘い合わせの上、皆様でお参りください。

また、2月末より境内の欅の木の剪定が行われており、まもなく終了致しま す。欅が十数本あり、300年以上のものと思います。参道周辺、墓地周辺の木は、根が傷められるせいか上部の枯れが目立ち、危険なこともあり、中途で切断 することにしました。業者の方と相談し、新たな芽吹きを期待し、数年後にはまた元気な葉の整った境内を夢見ております。”欅よ、がんばっておくれ”と思っ ております。私の書号は”欅庵”です。亡き師がつけてくれました。欅亡くして号成り立たずですので、是非の回復を願っております。

さて、般若心経の解説の最後に当たり、読み下し文を載せさせていただきます。

観自在菩薩は深般若波羅密多を行ぜられし時、五藍は皆空なりと照見され、一切の苦厄を度したまえり。
舎利子よ、色は空に異ならず、空は色に異ならず。色は即ち是れ空、空は即ち是れ色なり。受・想・行・識も亦た復た是の如し。舎利子よ、是の諸法は空相にし て、生ぜず滅せず、垢ならず浄ならず、増ぜず減ずることなし。、是の故に、空の中に色なく、受・想・行・識もなく、眼・耳・鼻・舌・身・意なく、色・声・ 香・味・触・法なし。眼界もなく、および意識界もなし。無明もなく、無明の尽ることなし。および老死もなく、また老死の尽ることなし。苦・集・滅・道もな く、智もなくまた得も無し。得る所なきを以ての故に。
菩提薩垂は、般若波羅蜜多に依るが故に、心に罫疑なし。罫疑無きが故に、恐怖あることな く、一切の顛倒夢想を遠離して、涅槃を究境す。三世の諸仏も、般若波羅蜜多に依るが故に、阿辱多羅三藐三菩提を得たまえり。故に知るべし、般若波羅蜜多 は、是れ大神咒なり、是れ大明咒なり、是れ無上咒なり、是れ無等等咒なり。能く一切の苦を除き、真実にして虚ならず。故に般若波羅蜜多の咒を説く。即ち咒 を説いて曰わく、
羯諦。羯諦。波羅羯諦。波羅僧羯諦。菩提薩婆訶。
般若心経。

ひろさちや著 「般若心経の読み方」より抜粋

お経は教典を持つことにより、見ることにより、書くことにより、読むことによりと功徳は多いとされます。棒読みでいいですからゆっくり心を込めて毎日毎日読誦することで身につき、いつかハッとこのことなのだと気のつく瞬間があろうかと思います。