2009年1月法話


新年明けましておめでとうございます。

今年は皆様にとりましてどんな年になるのでしょうか。希望に夢に向かって突っ走ることができるでしょうか。希望、夢は多く持ち、かなうだろうと努力することは生きる上で重要な指針となることでしょう、すばらしい夢に向かい艱難辛苦を乗り越えられる心の準備と体力を養ってもらいたいものです。

世の中昨年からの経済不安でまさに世界中がすり鉢の中に落ち込むような急激な波に飲み込まれております。日本は持ちこたえられるのでしょうか。と言うよりそれぞれ我が社は大丈夫だろうかとあくせくしているところでしょう。

考えてみますとこんなにも早く短期間にこのような状況になったものです。驚いてしまいます。インフルエンザのごとく一人咳すると万人に移るようにあっという間でした。もろいものです。あまりにも社会の仕組みが複雑になり、経済人にしかわからないようなことがいかにもろいものか。ドル安円高などのように、現物を目にしなくとも利益損益が急変動するものとは怖いですね。物々交換していた時代のなんと堅実なことか。いやお金と物との交換が今やお金とお金の取引になっており、日本だけでの話ではないのです。世界中のお金とお金のやりとりでのこの不況のように思います。早急に救う手立てはあるのでしょうか。場当たり的なことしか政治でも見いだせない状況ではないでしょうか。今困っている人を救うのは当然でしょうが、こんな急な落ち込みにも対処できるような裏支えをしっかりしておかなければならないのでしょう。それが何かは方法論を含め私にはつかめませんが。世界中の人がこの危機を自覚している今、新しい社会構築の時がきているような気がします。

毎年温暖化と言われ、今年も暖冬かと思っていると急に冬将軍、いつも通りの寒さに身が引き締まってしまいます。どげんかせんといかん、という知事がおられますが、この雪の少なくなった冬をなんとか活かす手立てはないものか、そこにも新しい芽吹きが見えればと思います。年頭に当たり、夢らしき夢を語れない私ですが、こんな時だからこそお釈迦様の教えが身にしみるときでもあるかもしれません。お寺の門はいつでも開いております。お寺だけではなく、皆様の心も開いて、また一冊の本をひも解くのもいいかなと感じます。くれぐれも夢に向かう努力を惜しまず前進してもらい、後ずさりしてもさらなる前進を目指して今年一年がんばりましょう。

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さて、人生思うようにならないとすると、何によってか動いているのでしょう。仏教はある意味科学的であり、原因と条件そして結果として捉えます。因縁により生起し果を結ぶ、いわゆる縁起と言うことです。ここの普遍の真理を知ると、人生は思うようにならないと苦しむ理由はなくなってくると言われます。そして日々の生活の中にもよい習慣を作り出すことが幸せな人生と感じさせれらることでしょう。その習慣作りは八正道の実践、さらに六波羅密の実践とされています。 般若心経の続きです。

故説般若波羅蜜多呪 即説呪曰 羯諦羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 羯諦羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提薩婆訶

般若心経の最後のところです。ここは陀羅尼で、インドの言葉を訳さずにそのまま漢字で記したところで、陀羅尼とは真言を唱えることにより力が得られるものとされています。ここでは”般若波羅蜜多への咒文を説く”ということです。羯諦は”行く”ということで、”行こう行こう 優れたところへ。真実の世界へみんな一緒にともに行こう。そして仏の悟りを成就しよう”となり、大乗の世界、我一人ではなく一切の人々と共に、として陀羅尼で結文されています。