2015年4月法話


4月、新年度に入りました。恒例のお涅槃会(3月26日)が終わると私の気持ちも春一色です。本年は厳格な法要は毎年ですが、そのあとに参拝者の布教の一助として寄席を計画いたしました。珍しさも手伝って例年より若干多くの参拝者があったことは良かったと思います。シャンティ国際ボランティア会を通してお願いした落語家さんは、若手真打ちの雷門小助六師匠。高卒後、落語一筋に修行を重ねてきたとのこと、見事に持ち時間きちっと務めて頂きました。芸道修行も大変なものがありそうで、一芸に秀でるということは並大抵のことではありません。電車に乗っても道を歩いてもぶつぶつとお稽古の場にしているとのこと、禅の修行そのものと言っていいかもしれません。落語といえば笑い、と思ってしまいます。お話しだけかと思えば、その場その場で踊りもあるようで、カッポレの踊りを披露して頂きました。聴衆一同、笑顔で大口を開いて楽しい一時でした。感謝申し上げます。いつまでも笑顔が続きますように願っています。(写真ページに当日の様子

年度替わりで大いに新たな生活に期待している人も多いことでしょう。何かテレビの情報番組を見ていると、涙の場面が多く感じられます。社会人として親元を離れていく人、送る親族の涙。福山雅治氏のラジオ番組終了に涙、黒田選手の日本球界復帰に涙、朝ドラ・エリーの死に涙。飛行機墜落のニュースに涙。日本人は涙もろくなったのでしょうか。感動の表現、感謝の気持ち、理不尽な出来事への腹正しさなどの現れが涙でしょう。人を思いやることは自分を大事にしている人だからこそなのでしょう。

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師の作に半切2行の行書作があります。立派な表装で東京の展示会に出品したものです。

「振衣清音亭 松桂鳴騒屑 坐対大峩峯 雲消露残雪」

王士禎詩5言絶句です。師には珍しく墨がいつもとは違います。それがまた趣を出し良い景色になっています。春になり清音亭で遠くの山々と対して坐していると、いつの間にか鳥や虫の声が木々に響き、雲が晴れ、残雪が見えていた、という意の詩だろうと思います。師の晩年近くの作のようです。晩年といっても筆力が落ちることもなく、生き生きとした線に若々しさが感じられます。私もいつまでもそうありたいものです。