2012年12月法話

今年も早あと一ヶ月となりました。寒くなってきました。11月半ばに一度雪が降り、車のタイヤも気持ちも暖房も、冬に切り替えました。庭の木々もあっという間に葉を落とし、昨日は冬ごもりの雪囲いをしていただきました。これからはじっと3ヶ月、寒さとの戦いです。とはいえその3ヶ月が大事なときになるのでしょう。

12月はじめの1週間はお釈迦様のお悟りに因んでの臘八摂心です。ひたすら坐禅をしてお釈迦様の行と同じ事をすることにより、少しでも近づきたいというものです。12月8日はお悟りをお祝いする成道会です。当寺でも梅花講による法要を行います。道元禅師の句に「春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえて すずしかりけり」とあります。冬の寒さ、雪に堪えてこそ春の花があり、鳥たちのさえずりがあり、色とりどりの四季があります。この冬を大事に、心の鍛錬とやむことなき行により、来る春を心待ちにしたいものです。

当時の庫裡も築40年となります。まだまだ使わせてもらいますが、思わぬところで老化が始まっています。先日はボイラーからのお湯の銅管が風呂床下で裂けてしまい、水漏れを起こしてしまいました。壁・床を壊して修理するか、新たな器具で外付けによる工夫かと選択を迫られ、工事のしやすい外付け器具にしました。年と共に費用もかさみます。

人間も年と共に病と闘わなければなりません。私も還暦を迎え少し体の変調があり、大腸検査をしました。今まで何の手当もしていなかった体への初めての検査でした。結果が出るまでやきもきしましたが、何のことはないただの炎症で一安心。少しは体に気をつけなさいという信号だったのでしょうか。

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さて、師の書に證道歌という経文の一節を書いた半切の軸があります。永嘉大師(六祖慧能禅師の法を嗣いだ)が作られた詩的な経で大変読みやすい経です。その一節「粉骨砕身も未だ酬ゆるに足らず、一句了然として百億を超う」です。

師の得意とする隷書でごく細い線で厳しさがあり、非常にすっきりとした作に仕上がっています。師の精神性の高さを表している作になっていると思います。飾りを捨て、力を見せつけるのを捨てて一作品を仕上げるのは大変です。見事な透き通った作です。文意は「身を粉にして供養しても、未だ十分にその恩に報いているとは言えない。仏が至上の優れた説法をするときは、たとえ一句一言を聞いただけでも解脱することが出来る。それは百億年の長い修行を超える価値があるのだ」経の一節ですので説明不足ですが、味わってみてください。