2012年5月法話

桜の4月があっという間に過ぎ去りました。とはいえ四月上旬の大嵐、台風の定義とは離れているのでしょうか、低気圧の異常発達には変わらず、日本全土に大きな被害をもたらしました。当地区もこれから農作業と張り切ってちょっと早めに準備した人の苦労を一瞬にしてめちゃくちゃにしてしまいました。農業ハウスの倒壊、ビニール破れなど、大被害でした。災害は忘れた頃にやってくるといいますが、まさかこの時期に来るとは。とはいえ時期を逃すと難しいのが農業、下旬にはすっかり復旧し、本月からは田植えの準備です。時を逃すと難しい農業、といいましたが、政府が抱えるTPPはどうなのでしょう。農業にプラスになるのかならないのか、参加するもしないも時を逃しては国民から総スカンとなりかねません。桜は時を逃しません。4月20日過ぎの初夏の陽気にあっという間に満開!見事としかいいようがありません。

その桜の時期にと、当寺では先住忌を5月2日に修行させていただきます。先代顕一大和尚七回忌法要です。師であり父である先住の事と頑張っていますが、普段から強い方ではない腰もあと少しでギクッとなりそうです。それでもやるべき事をやり遂げるとそれはそれですっきりし、さぁいざ行事、の気持ちです。御本寺補陀寺老師をお迎えし、有縁の方丈様の荘厳な経の響きが胸に染みることと思います。

先住の残してくれた書がたくさんありますが、その中に「無常」があります。隷書か篆書か難しい書体ですが、私のお気に入りの一つです。禅では、今、この時を大事にします。いつまでも前のことを考えていては物事は進まないのです。進まないどころか、逆進してしまいます。世の理は無常が当たり前なのです。この当たり前を受け止めずにいることこそ人生の弊害です。常にあらずだからこそ、今を生き、この時を大事にしなければなりません。常にあらずだからこそ、世の道理が自然に見え、悩むことも恨むこともなく、他の人の為にする事がスムーズになります。その行もまた、いつまでも続くことなく、常に新しい物をすることになります。その一つ一つの行が禅の究極の行いとなるのでしょう。

その「無常」の字を、風呂敷に染めてもらいました。先住忌の引き物とさせていただきます。誰もが分かっていることですが、この風呂敷を開いたとき、ふと思い出してもらい、今のありがたさを感じてもらえれば、こだわりや恨みのない心地よい生活になろうかと思います。そのためにも、しまい込んでしまうのではなく使っていただくことが、無常を通して仏に出会うことと思っていただければ幸いです。


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