2011年4月法話

春四月とはいえ、春はまだ遠い感じです。東京で桜が開花したとは聞きましたが秋田はまだ雪がちらついていますし、何しろ心が寒く凍てついてしまっている気がします。その理由は3月11日発生の宮城県沖震源の大地震です。死者行方不明者約28000人(現在)、原発の目に見えない放射線の恐怖、大被害です。日本中が暗く不安な日々で満たされています。一日も早く明るい春の訪れを祈らずにはいられません。

 私は東京にて地震を感じました。大東京で起きたことを目の当たりにし、ある意味日本人の人の良さ、好意的な律儀的な面を見ることが出来ました。麻痺した交通機関をよそ目に多くの人の徒歩行進、予約していたホテルではロビーいっぱいの帰宅難民に毛布、お弁当の配布、大学、企業も多く開放してくれた様です。私は帰りの飛行機が飛ばなくなり、丸一日帰るチケットのために右往左往。ようやく秋田までの夜行バス(普通観光バス)の切符を手に入れほっとしていました。旅行社の受付カウンターの女性には感謝感謝です。帰って私の脚は倍くらいにむくみパンパンになっていたのにはびっくりしました。

 私のことはこのような微々たる事で、住まいの能代も被害無しでしたが、安堵してはいられませんでした。大津波による前代未聞の被害も日に日に大きくなり、テレビ映像も悲惨さを増すばかり。当寺の檀徒さんのお孫さんも仕事中津波に遭い、ようやく先日お葬式を済ませました。そのお葬式当日朝、私の親友、石巻のご住職も発見されました。お葬式でのお話でその友人の事も頭に浮かび、目を潤ませての話になってしまいました。そのあとでおばあさんから「やっと安堵できる。どうしたらいいのか分からなかった」と言って頂き、お葬式という悲しい場面ですが、その持つ意味、力というのは生きている人にとっては大きな物がある事を改めて感じました。きっとご両親も何か感じてくれたのではと思います。今後力強く生き、共に供養していきたいものと思います。

 未だ見つからない親族を捜し回る被災地の人にとってはいつになったらこの安堵が訪れるのやら…。いつか苦渋の決断としてどこかでケジメをつけなければならないでしょう。今後生きていく為にもその力となるのが宗教者たる我々の大きな仕事になることと思います。地元のお寺も大きな被害を受けての事で、お互い痛みを感じながらのお勤めとなるのでしょうか。それぞれ前向きに復興に力を注いで頂ければと思います。

 さらには原発の被害です。日に日に重大発表が多くなり不安にさらされています。原発の発電力とはやはり大きいものです。あの東京が停電に震え上がっています。放射線の被害は今すぐ現れるとは限りません。広島長崎での経験がある日本ですのでその辺は充分考えているのでしょうが、どのくらいの被爆でどのようになるのかへの恐怖は拭えません。現時点では大丈夫、と言うことが多くありますので、それを信じ大きく生活を狂わされなくても良いのではとも思います。現場近くの人々は避難を余儀なくされているのですが、生活の不安を癒してくれるものが今のところ見つからないというのが最大の不安の原因でしょう。何とか立ち直れることを信じるしかありません。

 これからどうなるのだろうと考えてばかりでも解決できないことです。その時その時の出来る事をするしかありません。その時が来るまで心の力を養っておくしかありません。その意味で耐えて頑張りましょう。今後またこのような事態になる事が無いということは無いわけで、どこで起こるのかさえ分かりません。備えをするにもしようがありません。悲しいことですが、これが現実です。しっかり今を見つめ、足場を見失わずに、前を見て人の為になる事を考え実行し、自分の生きている有り難さを感じていきたいものです。


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