2010年9月法話

猛暑が収まりません。とにかく暑い。猛暑日連日十何日などとは聞いたこともありません。熱中症での死者も相当数となり、日々対処に忙しい毎日です。とにかく自然の流れを変えることはすぐには出来ません。その原因が人間の為すことに依るといっても元に戻すことは簡単ではありません。しかし環境を少しでもよくしようと思うことは一つの力になるだろうと思います。

お盆も例年の如く勤めさせていただきました。暑さと雨の四日間でしたが、やはり日本人にはこのお盆の行事は一大事です。ご先祖様を大事に思い、あらゆるものに敬いの思いを傾けるというよりも、お墓参り、お寺参りを例年通りにしなければならないという畏怖の方が多い気もします。しかしその行為が仏教徒の証しであることは間違いないでしょう。九月はまたお彼岸があります。これもまた仏教行事としては大きなものです。例年の如く勤め、後継にその大事さを伝えてもらえばと思います。そして9月29日は御征忌、道元禅師樣、瑩山禅師様の忌日となります。両大本山では盛大に供養法要が営まれます。お彼岸と共に是非とも檀徒の皆様も手を合わせる日にしてもらえればと思います。

そして宗門内の事としては宗議会議員の選挙があります。宗門内には様々な事業があり、そのかじ取りに宗議の皆様は尽くして下さっておられます。毎年平安な運営であると問題はないのですが、ここ何年かは大きな問題も抱えています。是非とも問題解決に早期に取り組んでもらい、本來の宗教的布教活動が円満になることを望んでおります。力関係だけに頼るのではなく、問題解決の為には是々非々で、互いの枠を超えた人間的な対応をしてくださればと考えます。

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さて、ご法事の御斎の席のお話です。供養膳を囲んで忌日のご先祖様の話に花を咲かせ、お酒も進むことと思います。先ほどのお経を読むお勤めがお釈迦様お祖師様のお言葉をお伝えする、仏教的雰囲気に浸るという一つの布教の場とすると、このお料理を囲んでの場がもう一つの布教の場となることでしょう。私は長時間座ることが出来ない場合が多いですが、笑ったりお話をお聞きする中で、ちょっとした仏教的な言葉一つを投げかけることにより、宴会とは別な席となり、その意義も大きいものと考えます。ご先祖様を偲ぶことはもちろん、今後の人生の指針となるべきものになってもらえれば幸いです。その意味でも参列者は、飲み過ぎ食べ過ぎに注意し、施主に感謝の意を表したいものです。
施主家はその後は後片付けなど忙しいことですが、汗を為すことで施主家は安寧の心を得、次の供養につなげることが出来るものと思います。

そして一日の仕上げは、ご先祖様の安住の地としての墓所のお参りをし、さらには菩提寺の本尊様、お釈迦様にお参りをすることで、一連の供養が一つの区切りとなります。このご本尊様へのお参りが本來のご法事の目的とされることもあります。

仏様に供養をし、法・お経を大事に聞き伝えること、僧・お坊さんや参列の皆様に供養することで、仏法僧の三宝を敬うという心になることでしょう。